山形県の衆院選の10代投票率 48.58% 前回衆院選(2017年)より1.34ポイント上昇
昨年、2021年10月31日に行われた衆議院選挙における山形県の10代の投票率は、前回衆院選(2017年)より1.34ポイント上昇して48.58%、前回に引き続き全国1位でした。山形県全体の投票率も64.34%で前回に引き続き全国1位です。
ある報道によれば、校内放送による啓発活動、ツイッターなどSNSを活用した投票の呼びかけなどが投票率向上につながったとのではないかとのことです。東桜学館でも生徒総会の際に投票の呼びかけをしてくれました。(山形県10代の投票率全国1位については、さまざまなメディアでも取り上げられていますので次のリンクからご覧ください。)
10代投票率「全国1位」山形県で何が?(日本テレビ)
なぜ山形県の10代投票率は全国首位なのか?【衆議院議員選挙】(yahooニュース)
投票率全国トップ県、10代も「政治考える雰囲気」…ワースト県は絵本読み聞かせ動画で啓発(2021.10.18読売新聞オンライン)
下げ止まっている日本の投票率
今回の衆院選全体の投票率は55.93%で、前回・平成29年の選挙より2ポイント余り上回ったものの、戦後3番目に低い投票率となりました。
過去の衆院選の投票率を見ると、2番目に低いのが前回第48回(平成29年)の53.68%、最も低いのが前々回第47回(平成26年)の52.66%となっています。つまり、直近3回の投票率がワースト3。投票率は完全に下げ止まっていることがわかります。
そして、全体的に低い投票率の中で、20代の投票率の低さが際立っています。
「日本大学大学院 岩井奉信講師によると、『シルバー民主主義と呼ばれる現象が起きる』といいます。若者の投票率が低いと、政治家は当選するために、高齢者向けの政策を優先的に示すことになります。それにより若い世代への歳出減少や消費減少に繋がり、最終的には国の活力が低下すると指摘します。(以上、FNNプライムオンラインの記事より)」
参考まで、総務省のホームページから「衆議院議員総選挙における年代別投票率の推移」を次に掲載します。
日本全体の投票率は、194の国・地域中139位
2021年10月25日のFNNプライムオンラインによると、国際的な研究機関である民主主義・選挙支援国際研究所が、世界各国の議会選挙の投票率をランキングしたところ、194の国と地域の中で、日本は139位という結果になったそうです。
ただし、国によって選挙のシステムやルールが異なっているので単純に数字を比較することはできません。
たとえば、「投票率1位のベトナムでは、“代理投票は慣行”。法律では認められていないものの、代理投票が行われてしまっている傾向にあるといいます。
また、3位のシンガポールやオーストラリアなどは、投票しないと罰金が課され、社会的責任を国民に求めているというのです。
一方、18位のスウェーデンは“12歳から模擬投票“を実施。実際の選挙と同日に、同じ候補者に投票。さらに選挙前には、候補者が学校に演説にくるというのです。ユニークな発想により、若い世代にも政治を意識してもらうことに重点を置いているようです。(以上、FNNプライムオンラインの記事より)」
高いスウェーデンの投票率
「スウェーデンと日本、同じ年に行われた国会議員選挙での若者の投票率を表したグラフです。
スウェーデンは81.3%、日本は32.4%、大きな差があります。
なぜ、スウェーデンの投票率は高いのでしょうか。
スウェーデンの小学校6年生、社会科の教科書を見てみると、投票に行くことや、自分の意見を社会に反映させるために集会やデモを行うことが大切だと書かれています。
さらに、学校内では投票が行われることがたくさんあります。
例えば、学校で新しい遊具を買うとき、限られた予算で、どんな遊具にすればいいのか、全校児童で投票して決めます。
高校生になると、国会に集まることがあります。大臣と国の課題について議論します。その内容は、議事録にのり、実際の政策に反省されることもあります。
スウェーデンの子どもたちは、自分の意見が学校や地域、そして国の政治にも反映されているという体験をしながら、政治への関心を高めています。
(以上、「投票率が高いスウェーデン」NHK for Schoolより)」
投票率が高いスウェーデン(NHK for School)
投票率と相関するものは?
世界の国々の投票率を調べてみると、罰則規定や義務投票制度を設けていない国でも、投票率の高い国があることがわかります。
例えば、ベルギー88.4%、スウェーデン 87.2%、デンマーク84.6% 、アイスランド81.2%、ノルウェー78.2%、ドイツ76.2%、フィンランド68.3% といった国々です。
これらの国々を見ていると、二つのことに気がつきます。
ひとつは、投票率の高い国々は国民負担率の大きい国であることです。負担が大きい分、政治に対する国民のコミットメントが高いというのは因果関係として成立しそうではないですか。
二つめは、投票率の高い国々は、幸福度ランキングで上位に位置している国が多いということです。(幸福度ランキングのスコアの差にどれほどの違いがあるのかについては吟味が必要かもしれませんが)
出典:国連「World Hapiness Report 2020」
10代投票率は低いが、高校生の投票率は?
昨年の衆院選での投票率をもとに、山形県内の高校3年生の投票率を考えてみます。
山形県の投票率は、18歳:59.2%、19歳:38.0%でした。
そして、選挙権を持つ18歳のうち、誕生日が10月までの人が高校生となります。つまり、大まかにいうと18歳中の7/12が高校生ということです。
ここで、高校生以外の18歳の投票率は19歳とほぼ同じ40%であると仮定して、高校生の投票率を計算してみると73%となりました。これは、50代とほぼ同じ投票率です。
残念ながら、高校生では低くはなかった投票率が、卒業すると低くなってしまうのではないか、と私は考えています。
最後に・・・
新庄南高等学校金山校の生徒の皆さんが金山町の「模擬議会」において、次のような提案をされました。
「住民票を移さずに県外へ進学・就職した若者のため、不在者投票の手続きを簡素化するよう国に要望できないか」
実現可能性は別にして、現状と課題を的確に捉えた素晴らしい提案だと思いました。若者に対する私の期待がさらに膨らんだ瞬間でした。