11月10日(金)に東京大学「高校生と大学生のための金曜特別講座」の後期第4回校内視聴を実施しました。今回は「星の爆発で宇宙の膨張を測る」と題し,土居 守先生(東京大学 大学院理学系研究科附属 天文学教育研究センター・教授)がご講演くださいました。中学1年生が4名,2年生が3名,3年生が2名,高校1年次59名が大講義室で視聴しました。「宇宙が膨張しているということは知っていたが,その測定方法や速度が変化しているということは初めて知り,とても興味深いと思った。また,現在の物理法則が使えない可能性や,まだ発見されていない法則がある可能性があると聞き,まだまだ多い宇宙の謎にロマンがあるなと感じた」(高校1年K.K.さん)」といった感想のように,神秘的な宇宙に魅了される貴重な機会となった講演でした。次回は12月1日の「次世代航空宇宙モビリティのための新しい流体科学の創出を目指して」となります。
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令和3年7月22日(木)本校において、地域の小中学生を対象とした親子実験教室である東桜サイエンスラボを行いました。1年ぶり4回目の実施です!
感染症対策をとっての実施のため、一昨年よりも受講者を減らしての実施となりました。当日はおよそ32組64名ほどの小学生とその家族の方が参加してくださいました。本校中学、高校の探究部員などもティーチングアシスタント(TA)として参加し、地域の方々と触れ合いました。実験教室は以下の4つのコースです。
コース1…気圧・水圧を感じよう!(物理:真空中の食べ物の姿は?などの真空実験と浮沈子作り)
コース2…身近なもので発電しよう!(化学:身の回りにある物を用いた簡単な電池作りと様々な反応)
コース3…化石レプリカを作ろう!(地学:化石標本から型を取り、本物そっくりな化石レプリカを作り)
コース4…水棲昆虫を観察しよう!(生物:白水川で生き物採集後、種類や数を調べることで川の性質を判定)
オープニングは、探究部による挨拶と演示実験です!
コース1 マシュマロおばけに大興奮! 浮沈子作成
コース2 手作り電池完成! 蓄光アクセサリーは光るかな!?
コース3 化石レプリカ作り!
コース4 白水川にて採集! 実験室に戻って調査!
【参加者の声】
・なんでそうなるのかわかることができました。また、浮力の仕組みなども知ることができたので家でも活用してみたいと思いました。(物理)
・普段知れないようなことがわかった。ものの性質について、よく知れてとても楽しかったです。(化学)
・化石を見るのが初めてだったので、まずは見れてうれしかったです。家で作ったレプリカをかざります。(地学)
・久しぶりに川に入って楽しかった。川にはたくさんの昆虫がいて、もっと生物について知りたいと思いました。近所の川でも調べてみたいです。(生物)
・子供と一緒に実験をする機会は普段ないため、大変貴重な時間となりました。子供が興味を持ちやすい内容で、TAの生徒さんと一緒に進めることができてよかったです。(保護者)
【TA生徒の声】
・科学を一緒に体験するのが楽しかった。しっかりとした事前の準備をする大切さも感じました。(高校生)
・自分の説明が、相手に理解してもらえることがうれしかった。来年ももっと工夫して頑張りたい。(高校生)
・人に話しかけるのは緊張したが、一緒に楽しみながら実験できて自分も知らないことを学べて楽しかった。(中学生)
・先生を支える役割だったが、積極的にアドバイスをしたりして、場の雰囲気を楽しいものにするのが重要だと感じました。(中学生)
11月15日金曜日の17時半より、高校1年次生の62名が参加して東大金曜講座を視聴しました。今回は東京大学教養学部 教養学科・准教授の郷原 佳以先生が「『作者の死』の歴史性」と題して講義をしてくださいました。フランスの文学者ロラン・バルトが、文学作品の正当な読み方を作者の意図に求めようとする傾向を戒めるために書いた論文「作者の死」がもたらしたテクスト主義について学ぶことができました。
【生徒の感想からの抜粋(敬称は男女共にさん)】
作者の抱えていた事情や意図していることを踏まえて読むことは至極当然だと思っていたため、テクスト論のような考え方は非常に新鮮で衝撃を受けた。また、本来読書における創造者が読者であるならば、私たちが普段している本の読み方は、作者が創造していることからさらに上乗せして創造するのであって、それは確かに真の創造とは言えないかもしれないと感じた。(高校1年次A. S.さん)
「作者の死」についての講話を聴いて大切だと感じたのが、常識を疑うということである。バルトの著した「作者の死」においての命題である「文学作品は作者の来歴や意図、社会的背景といった外存的要因に説明されるべきではない」はその通りだと思った。読書の仕方を今後もう少し工夫したいと思う。(高校1年次A.Oさん)
7月12日金曜日の17時半より、高校1年次生27名が参加して東大金曜講座を視聴しました。今回は東京大学教養学部統合自然科学科教授の大杉美穂先生が「動物の受精・発生の多様性」と題して講義をしてくださいました。冒頭の自己紹介では進路選択に関するお話もあり、また生物の授業で細胞分裂の授業を受けたばかりということもあって、良い学びの機会になったようです。
【生徒の感想からの抜粋(敬称は男女ともにさん)】
核を作る際に自分たちにとって都合が良くなるように、動物ごとに違いがあったりすることが面白かった。人間の体は私たちにとって一番身近なのにも関わらず、まだ解明されていない謎が多いため、人間の体は宇宙のように未知だと感じた。(K. S.さん)
研究も勉強も一つのことを続けるという意志はとても大切だと思った。受精は脊椎動物の中でも哺乳類は特別ということを知った。カエルなどは20~30分で受精卵が一度分裂し、7~8時間では1000以上の細胞に増えるが、哺乳類はとても遅いため、一度目の分裂も時間がかかるということが不思議だった。(M. A.さん)
6月17日。今年度第1回の体験型実習講座が本校化学実験室にて開催されました。今回の講座では、山形大学工学部准教授の奥山正明先生にお越しいただき、「炎の科学」というテーマで実施していただきました。対象生徒は2年次理系生徒約30名です。
以下に、参加した生徒の感想を掲載します。
炎が自分の生活の中で役に立っていることは知っていて、当たり前に今まで使っていた。でも、まだ分かっていないことや研究が進んでいないことを聞いて驚いた。実験では炎の温度の測り方を初めて知ることができた。私がいちばんおもしろいと思ったことは、炎の中でさまざまな反応が起こっていることだった。あまり意識して炎を詳しく見たことがなかったが、中が空洞だったりしたので、周りの物ももっとくわしく見てみたいと思った。
本日の体験型実習講座で、私たちの生活の身近にある炎のことについて、いろいろなことが学べてよかったです。一番驚いたことは、芋煮の時にナベに付着する黒いすすについて、まだ解明されていないことがとても多かったり、実用化できたら今までよりも便利な世界にできる可能性を秘めている物質ということです。課題研究で、このようなことを研究しても楽しいと思いました。
テーマが「炎」ということで身近にあるものだったけど、実際には知らないことが多くて学ぶことが多くありました。炎の色でも青炎と輝炎があり、青炎では水素と酸素の反応でOHが生成されていて、輝炎では、すす粒子が加熱されて輝くと知りました。また、実験では金属の組み合わせや炎の位置で温度が異なると知りました。そして、火炎はエネルギーを作り出すだけでなく、物質の交換や生成にも役立っていると知り、もっと詳しく知りたいと感じた。
奥山先生、本日はありがとうございました。
初めに講義を聞いて、いざ実験。
炎の上から金網をあてると中が空洞なのが確認できる。
6月21日午後5時半より第3回の東大金曜講座が開かれ、高校1年次生51名が参加しました。今回は、「いろいろな次元の球」と題した金井 雅彦 先生 (東京大学 理学部 数学科・教授)の講義をオンラインで視聴しました。ボールや地球の表面は,厳密には2次元球面と呼ばれるもので、実は2次元に限らずいろいろな次元の球面を考えることができるとのこと。数学、特に幾何学における近年の大きな成果をご紹介頂きました。
【生徒の感想からの抜粋(敬称は男女とも「さん」)】
数式ばかり教わる授業だと想像していましたが、歴史的な話も入れてくださり、面白かったです。楽しく学べました。質問コーナーでは圧倒されました。今回の内容を理解した上で、質問を見出す高校生の方々。よく先生方がおっしゃる「戦う相手は全国」という言葉の重みを知りました。東桜学館という枠だけであがいていられないんだなとわかりました。(S. T.さん)
次元というのはすごく難しくて、私たちには手出しができないものなのかと思っていましたが、少し理解することができました。特に感動したのは球には2角形があるということで、その2角形が3つなっているところの面積から重なったところを引く面積は球の面積の半分と等しいということです。数学の次元という分野はとても奥深いのだなと思いました。(Y. Y.さん)
4月26日午後5時半より第2回の東大金曜講座が開かれ、「正義を実験する―実験政治哲学入門」と題した井上彰先生(東京大学 教養学部 教養学科・准教授)の講義を大講義室にてオンラインで視聴しました。貧困・格差・差別などの政治的・政策的課題が深刻の度を増す現状をふまえて,20世紀を代表する政治哲学者ジョン・ロールズの理論装置である「無知のヴェール」に関するオンライン・サーベイ実験を題材に、人々が探るべき「正義」の内実やその方向性を検討する実験政治哲学の意義と面白さに迫るという内容でした。中学3年生12名を含めた、高校3年次生までの88名が参加し、熱心に拝聴しました。
【生徒の感想からの抜粋(敬称は男女とも「さん」)】
政治哲学の方法で、前提条件に問題がないようにしないといけない、というのは、私たちが行っている未来創造プロジェクトにも共通する大事なことだと思った。東大の入学式の祝辞であったように、性別での格差がやはりまだあるので、それがないような未来が来てほしいと思った。(中学A.K.さん)
井上先生の「たくさん実験して、たくさん失敗している。裏切り方が面白い。そしてもう一度調査する」という言葉で、私も失敗しても、もう一度調べなおしたいと思えるような分野に出会いたいと思いました。(1年次M.S.さん)
今回の講座で正義についての見方が広がった。生議論の前提条件を「我々が納得できるもの」にするということをローガンは重視していた。そして実験から得られた結果によって「前提」すら変わってしまうことが分かった。(1年次M.F.さん)
今年度第1回の東大金曜講座(オンラインの双方向通信環境で,夕方5時半からの講義を全国の参加校が視聴する)が4月19日に行われました。「天体現象を計算機でシミュレートする」という演題で、東京大学教養学部学際科学科教授の鈴木建先生の講義を行ってくださり、本校からは高校1年次の生徒が42名参加しました。
太陽風や恒星風,ブラックホールの周囲の降着円盤,ジェットと呼ばれる超高速のガスの吹き出しなど,宇宙の「風」や「流れ」は何故、そして、どのように引き起こされるのか。昨今のコンピューターの性能の向上により,天体現象をコンピューターの中で模擬し,何が起きているのかを調べる天体現象の数値シミュレーション研究の一端を、太陽風をはじめとする天体からの流れを例に紹介して頂きました。また,講演後の質問には本校生徒2名が質問し,懇切丁寧にお答え頂き,19時までお付き合い頂きました。
【生徒の感想より(男女とも敬称はさんに統一しています)】
見えないものをシミュレーションで見てみようという発想が素晴らしいと思う。見えないのだからどうしようもないか、と諦めず頑張れるのがやはり本物の研究者だなと思った。流石に少し難しい話だったが,理解できるように勉強したいと思った。(S. S.さん)
太陽、宇宙の壮大さを改めて知った。しかしその宇宙に対して人間が持つ技術も予想を超えるもので,とても面白かった。音波などを用いて立体的にシミュレートするというのはやってみたくなった。(K. S.さん)
私は今まで身近なものと天文の世界を密接に考えたことがなかったので,身近なもので(今回は味噌汁など)できるのであれば,実際にしてみたいと感じた。また,宇宙には磁界が飛び交っていて,それが中心に集まっていくことがシミュレーションで分かり,その技術のすごさがわかった。(ブラックホールの中に入ると質量になると知ってびっくり!!)(Y. T.さん)
平成29年度(研究開発1年次)SSH研究開発実施報告書の内容です。
1章 研究開発の課題 (2.123MB)
2章 研究開発の経緯 (2.669MB)
3章1節 生徒が主体となる探究的な学びの展開 (3.508MB)
3章2節 体系的な校外研修「東桜夢フィールド」の開発 (1.590MB)
3章3節 学校設定教科「SS」の設置と学校設定科目 (1.841MB)
3章4節 高大連携事業等の推進と高大接続研究 (1.366MB)
3章5節 地域の科学技術拠点校としての発信・普及の充実 (0.775MB)
3章6節 科学技術育成に関する取組 (3.586MB)
4章 実施の効果とその評価 (1.485MB)
5章 校内におけるSSHの組織的推進体制 (0.727MB)
6章 研究開発実施上の課題及び今後の研究開発の方向・成果の普及 (1.877MB)
7章 関係資料 (3.910MB)
2018年3月19~20日に理系希望者28名が筑波の施設を巡り、科学への興味・関心を深めてきました。
1日目
「物質・材料研究機構」、「防災科学研究所」の2つの施設を訪問しました。
物質・材料研究機構
こちらの施設では、光ファイバーに高負荷がかかった場合に生じるファイバーヒューズ現象の説明・実演、シリコンウェハーなどの研究を行うクリーンルームの説明(お土産をいただきました)、人工ダイヤモンドを作成する超高圧環境の見学・説明、ナノチューブの研究についての説明、電子顕微鏡についての説明をしていただきました。
普段何気なく触れている製品に多くの技術が関わっていることを認識することができました。
防災科学技術研究所
こちらの施設では、地震ザブトン装置で様々な地震を体験できました。施設見学は「大型耐震実験施設」、「大型降雨実験施設」の2施設を見学させていただきました。それらの施設の大きさに圧倒されました。また、我々の安全を確保するためには、そのような大型の実験施設が必要であることも認識しました。最後に「Dr.ナダレンジャーの防災科学実験ショー」を見ました。全員がショーに引き込まれて楽しい一時を過ごしました。楽しさの中で、現象が小さいうちは楽しい実験でも、大規模になると災害になると教えていただき、災害について再認識することができました。さらに実験装置「エッキー」をお土産でいただくこともできました。
2日目
「高エネルギー加速器研究機構」、「筑波実験植物園」と「国立環境研究所」の2コースに分かれて、それぞれの施設を訪問し、その後、「筑波宇宙センター」を訪問しました。
高エネルギー加速器研究機構
フォトンファクトリー(放射光を使った実験施設)では、放射光を取り出す原理の説明や、それらを用いた研究について説明していただきました。材料の研究、タンパク質などの生命にかかわる研究、宇宙についての研究などの様々な研究がおこなわれてることを学びました。Bファクトリー(1周3kmの円形加速器)では、素粒子の説明、B中間子を生成させ、「CP対称性破れ」に関する測定を行っていること、加速器の構造についての説明をしていただきました。粒子を加速し光速に近づける話など、日常とかけ離れた内容に驚きながらも興味を持つことができました。
筑波実験植物園
珍しい世界の多種多様の植物を見ることができました。「植物の多様性を知る・守る・伝える」ということを目的として、植物が展示されていました。それらの展示を見ることで、植物の多様性が我々の生活を支えていることを再認識し、重要なものであると学ぶことができました。
国立環境研究所
地球温暖化に関する研究の概要を説明していただきました。地球温暖化が叫ばれて久しい中で、現在どのような調査研究が行われているのかを解説していただきました。改めて地球の危機を感じ、我々一人ひとりが何をしなければいけないかを考える機会をいただきました。また、環境資料タイムカプセル棟では、絶滅危機のある生物の遺伝子が保存され、研究や種の保存に役立っていることを知りました。地球が我々人類だけのものではないと再認識させられました。
筑波宇宙センター
展示館「スペースドーム」では、実物大の人工衛星などを見ることができ、宇宙への関心が膨らんできました。また、見学ツアーでは「きぼう」運用管制室、宇宙飛行士養成エリアを見学しました。「きぼう」運用管理室では宇宙開発を支える様子をうかがい知ることができました。宇宙飛行士養成エリアでは、無重量状態が人体にどのような影響を与えるか、また、無重量状態が生物にどのような影響の実験について学ぶことができました。宇宙に近づけたひとときでした。