10月23日(金) 17:30より19:10まで、後期3回目となる東京大学金曜講座の校内視聴を実施しました。今回は、鎌倉夏来(東京大学理学部数学科・准教授)先生による 「地域活性化を考える:産業立地の視点から」と題したご講演を拝聴しました。参加者は10名と少なかった回になりましたが、身近なテーマに参加した生徒たちは真剣に講義に聞き入っていました。次回は30日に行います。
<生徒の感想から>
今回は身近なテーマで、とても魅力ある講演だった。中学校の頃から地域・山形と向き合う機会が多くあり、未来創造プロジェクトでも地域活性化を題材にすることもあった。しかし、そもそも地域活性化とは何なのか、についてはあまり考えていなかったかもしれず、自分自身きちんと課題と向き合えていなかったのかな、と感じさせられた。また今回は、産業立地という視点で、今まで考えたことのなかった切り口で興味深かった。産業立地を見ることで、仕事が集中している拠点や地域の産業の在り方が見えてくるのがとても面白かった。山形でも、近年IT系のベンチャーなどが増加していると聞いているので、一度山形における産業立地を調べてみたいと思った。やはり、フィールドワークをして、自分の目で見て考えて、という研究を行っていきたいと改めて確認できた。(W.K.さん)
山形県立 東桜学館 中学校・高等学校
10月16日(金) 17:30より19:10まで、後期2回目となる東京大学金曜講座の校内視聴を実施しました。今回は、東京大学大学教養学部准教授・渡邊淳也先生による 「認知モードの言語間比較」の講義で、本校の会場は大講義室に戻り、60名以上の希望者で視聴し、2名の生徒が質問してご回答いただくこともできました。次回は23日に行います。
<生徒の感想から>
今まで私は、英語は論理的で日本語は非論理的であると聞くことがよくあり、そう思い込んでいたけれど、そうではなく、DモードとIモードの違いによるものだとわかった。英語と日本語、その間と言えるようなフランス語の3言語を比較し、それぞれの性質を挙げた時、英語はDモード的、日本語はIモード的、そしてフランス語はそのどちらかによりつつ、DモードとIモードの間のような感じがした。(中略)認知モードの概念によって、広汎な言語減少についての説明ができることはとても興味深いと感じた。(H. I.さん)
和訳した英文や、英訳した日本語が不自然で分かりにくい文になってしまうのを見て、疑問に思っていたが、物事のとらえ方がそもそも違うということを理解できた。他にも日本語は主観的な言語だからオノマトペが多いことや、英語は客観的な言語だから一人称が一定だということなど、言語の仕組みの理由について学ぶことが出来た。これから英語を学ぶ際は、Dモードの考え方を意識していきたいと思う。(中略)日本語の面白さや深さに気づくことが出来、外国語との違いや時代背景について、自分で調べてみたいと思った。(A. Y.さん)
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本年度、コロナ対策のために東大金曜講座の受講を個人対応にしてきましたが、生徒の受講のしやすさを考慮し、校内での受講を10月2日に再開いたしました。東京大学 教養学部 教養学科・准教授の國分功一郎先生の「新型コロナウイルス感染症対策から考える行政権力の問題」と題された講義を、本校生22名が会議室で視聴しました。講義後も、本校生2名が質問で挙手していました。残念ながら時間内に質問することはできませんでしたが、自由を制限するということの意味など、真剣に講義内容について考える、良い機会となりました。
<生徒の感想>
今回の講義を聞き、新たな観点から物事を見て考えることはとても大切だと思いました。アガンベンのような考え方は、私が普通に生活している中では絶対に思いつくことのないものでした。「死者の権利」なども同様で、私たちの権利の放棄という問題に気づくことが出来ました。初めて哲学の講義が聞けて良かったです。(1年次Mさん)
今回の講義で、移動の自由というものが、たくさんの権利の根幹にかかわるものであることを知った。そして外出自粛を簡単に受け入れてしまうのは、自ら考えないことに大きくつながっていることも知った。これらは投票率の減少からもわかるように、国民の政治にかかわる権利や移動の自由に対して、興味関心を持っていないことが根底にあるように感じられた。(高校1年次Yさん)
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12月6日(金)の17時半より、本校では今年度最後となる東大教養学部「高校生と大学生のための金曜特別講座」を高校1年次生49名が受講しました。今回は「合同数について」と題し、三枝 洋一先生(東京大学 理学部 数学科・准教授)が講演され、「三辺の長さが有理数であるような直角三角形の面積として表される整数」である合同数を判定する方法や、ある合同数に対応する直角三角形はどのくらいあるのかについて学びました。
【生徒の感想(敬称は男女とも「さん」)】
世界は広いと思った。数学の中の「整数論」だけでも素朴な未解決問題がたくさんある。そう考えると、私たちが知っているのはほんの少しのことで、まだ視野にする入れられていない部分がたくさんあると思う。私は数学の楽しさは”必ず解があること”だと考えていたため、”問題を解く楽しさ”も存在すると感じた。現代数学を発展させていくことは、直接私たちには関係しないかもしれない。しかし、数学者が「わからない」を解決するだけで、現代の私たちに影響するようなものを作ることができた時、数学は今よりもっと価値の高いものになっていくと思った。(T. Y.さん)
「合同数」や「楕円曲線」「タンネルの判定法」などと聞くと、難しそうに感じたが、1つ1つのことは今数学で学習している内容が主となっていて、理解できたものもあったので、今の数学で学習していることをきちんと身につけていれば、大学に入ってからより深く学ぶことができると感じた。普段だったら自分からは知ろうとしない分野なので、こういった機会に新しい世界に触れることができてよかった。(K.A.さん)
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11月15日金曜日の17時半より、高校1年次生の62名が参加して東大金曜講座を視聴しました。今回は東京大学教養学部 教養学科・准教授の郷原 佳以先生が「『作者の死』の歴史性」と題して講義をしてくださいました。フランスの文学者ロラン・バルトが、文学作品の正当な読み方を作者の意図に求めようとする傾向を戒めるために書いた論文「作者の死」がもたらしたテクスト主義について学ぶことができました。
【生徒の感想からの抜粋(敬称は男女共にさん)】
作者の抱えていた事情や意図していることを踏まえて読むことは至極当然だと思っていたため、テクスト論のような考え方は非常に新鮮で衝撃を受けた。また、本来読書における創造者が読者であるならば、私たちが普段している本の読み方は、作者が創造していることからさらに上乗せして創造するのであって、それは確かに真の創造とは言えないかもしれないと感じた。(高校1年次A. S.さん)
「作者の死」についての講話を聴いて大切だと感じたのが、常識を疑うということである。バルトの著した「作者の死」においての命題である「文学作品は作者の来歴や意図、社会的背景といった外存的要因に説明されるべきではない」はその通りだと思った。読書の仕方を今後もう少し工夫したいと思う。(高校1年次A.Oさん)
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11月1日金曜日の17時半より、中学3年生と高校1、2年次生の30名が参加して東大金曜講座を視聴しました。今回は東京大学教養学部 教養学科・准教授の鶴見太郎先生が「なぜ『ユダヤ人は金持ちだ』と言われるのか」と題して講義をしてくださいました。ユダヤ人がお金持ちというイメージには誇張があるそうで、そのように誇張されるようになった歴史を振り返る、良い学びの機会を頂きました。
【生徒の感想からの抜粋(敬称は男女ともにさん)】
古代ローマ時代、宗教上の理由で利子を取ることに抵抗があるキリスト教徒の代わりに、利子に抵抗のないユダヤ教徒の一部が金融業についてだけなのに、「金に汚い」「道徳より利益を優先する」などと言われるのはひどいと思う。よく宗教の違いで戦争が起こったりするのも、そういう考え方の違いからなのだなと改めて感じた。(高校1年次R. O.さん)
ステレオタイプや偏見というものは、日常生活でも多くあると思った。ラベリング理論のように悪循環が続いてしまうので、自分で確かめて、何を信じるか選択する必要がある。「ユダヤ人は金持ちだ」という考えには、宗教的な背景があることを知り、噂を発する側の意図を意図を考えるのも面白いと思いました。(中学3年 W.T.さん)
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7月12日金曜日の17時半より、高校1年次生27名が参加して東大金曜講座を視聴しました。今回は東京大学教養学部統合自然科学科教授の大杉美穂先生が「動物の受精・発生の多様性」と題して講義をしてくださいました。冒頭の自己紹介では進路選択に関するお話もあり、また生物の授業で細胞分裂の授業を受けたばかりということもあって、良い学びの機会になったようです。
【生徒の感想からの抜粋(敬称は男女ともにさん)】
核を作る際に自分たちにとって都合が良くなるように、動物ごとに違いがあったりすることが面白かった。人間の体は私たちにとって一番身近なのにも関わらず、まだ解明されていない謎が多いため、人間の体は宇宙のように未知だと感じた。(K. S.さん)
研究も勉強も一つのことを続けるという意志はとても大切だと思った。受精は脊椎動物の中でも哺乳類は特別ということを知った。カエルなどは20~30分で受精卵が一度分裂し、7~8時間では1000以上の細胞に増えるが、哺乳類はとても遅いため、一度目の分裂も時間がかかるということが不思議だった。(M. A.さん)
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6月21日午後5時半より第3回の東大金曜講座が開かれ、高校1年次生51名が参加しました。今回は、「いろいろな次元の球」と題した金井 雅彦 先生 (東京大学 理学部 数学科・教授)の講義をオンラインで視聴しました。ボールや地球の表面は,厳密には2次元球面と呼ばれるもので、実は2次元に限らずいろいろな次元の球面を考えることができるとのこと。数学、特に幾何学における近年の大きな成果をご紹介頂きました。
【生徒の感想からの抜粋(敬称は男女とも「さん」)】
数式ばかり教わる授業だと想像していましたが、歴史的な話も入れてくださり、面白かったです。楽しく学べました。質問コーナーでは圧倒されました。今回の内容を理解した上で、質問を見出す高校生の方々。よく先生方がおっしゃる「戦う相手は全国」という言葉の重みを知りました。東桜学館という枠だけであがいていられないんだなとわかりました。(S. T.さん)
次元というのはすごく難しくて、私たちには手出しができないものなのかと思っていましたが、少し理解することができました。特に感動したのは球には2角形があるということで、その2角形が3つなっているところの面積から重なったところを引く面積は球の面積の半分と等しいということです。数学の次元という分野はとても奥深いのだなと思いました。(Y. Y.さん)
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4月26日午後5時半より第2回の東大金曜講座が開かれ、「正義を実験する―実験政治哲学入門」と題した井上彰先生(東京大学 教養学部 教養学科・准教授)の講義を大講義室にてオンラインで視聴しました。貧困・格差・差別などの政治的・政策的課題が深刻の度を増す現状をふまえて,20世紀を代表する政治哲学者ジョン・ロールズの理論装置である「無知のヴェール」に関するオンライン・サーベイ実験を題材に、人々が探るべき「正義」の内実やその方向性を検討する実験政治哲学の意義と面白さに迫るという内容でした。中学3年生12名を含めた、高校3年次生までの88名が参加し、熱心に拝聴しました。
【生徒の感想からの抜粋(敬称は男女とも「さん」)】
政治哲学の方法で、前提条件に問題がないようにしないといけない、というのは、私たちが行っている未来創造プロジェクトにも共通する大事なことだと思った。東大の入学式の祝辞であったように、性別での格差がやはりまだあるので、それがないような未来が来てほしいと思った。(中学A.K.さん)
井上先生の「たくさん実験して、たくさん失敗している。裏切り方が面白い。そしてもう一度調査する」という言葉で、私も失敗しても、もう一度調べなおしたいと思えるような分野に出会いたいと思いました。(1年次M.S.さん)
今回の講座で正義についての見方が広がった。生議論の前提条件を「我々が納得できるもの」にするということをローガンは重視していた。そして実験から得られた結果によって「前提」すら変わってしまうことが分かった。(1年次M.F.さん)
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今年度第1回の東大金曜講座(オンラインの双方向通信環境で,夕方5時半からの講義を全国の参加校が視聴する)が4月19日に行われました。「天体現象を計算機でシミュレートする」という演題で、東京大学教養学部学際科学科教授の鈴木建先生の講義を行ってくださり、本校からは高校1年次の生徒が42名参加しました。
太陽風や恒星風,ブラックホールの周囲の降着円盤,ジェットと呼ばれる超高速のガスの吹き出しなど,宇宙の「風」や「流れ」は何故、そして、どのように引き起こされるのか。昨今のコンピューターの性能の向上により,天体現象をコンピューターの中で模擬し,何が起きているのかを調べる天体現象の数値シミュレーション研究の一端を、太陽風をはじめとする天体からの流れを例に紹介して頂きました。また,講演後の質問には本校生徒2名が質問し,懇切丁寧にお答え頂き,19時までお付き合い頂きました。
【生徒の感想より(男女とも敬称はさんに統一しています)】
見えないものをシミュレーションで見てみようという発想が素晴らしいと思う。見えないのだからどうしようもないか、と諦めず頑張れるのがやはり本物の研究者だなと思った。流石に少し難しい話だったが,理解できるように勉強したいと思った。(S. S.さん)
太陽、宇宙の壮大さを改めて知った。しかしその宇宙に対して人間が持つ技術も予想を超えるもので,とても面白かった。音波などを用いて立体的にシミュレートするというのはやってみたくなった。(K. S.さん)
私は今まで身近なものと天文の世界を密接に考えたことがなかったので,身近なもので(今回は味噌汁など)できるのであれば,実際にしてみたいと感じた。また,宇宙には磁界が飛び交っていて,それが中心に集まっていくことがシミュレーションで分かり,その技術のすごさがわかった。(ブラックホールの中に入ると質量になると知ってびっくり!!)(Y. T.さん)
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