4月26日午後5時半より第2回の東大金曜講座が開かれ、「正義を実験する―実験政治哲学入門」と題した井上彰先生(東京大学 教養学部 教養学科・准教授)の講義を大講義室にてオンラインで視聴しました。貧困・格差・差別などの政治的・政策的課題が深刻の度を増す現状をふまえて,20世紀を代表する政治哲学者ジョン・ロールズの理論装置である「無知のヴェール」に関するオンライン・サーベイ実験を題材に、人々が探るべき「正義」の内実やその方向性を検討する実験政治哲学の意義と面白さに迫るという内容でした。中学3年生12名を含めた、高校3年次生までの88名が参加し、熱心に拝聴しました。
【生徒の感想からの抜粋(敬称は男女とも「さん」)】
政治哲学の方法で、前提条件に問題がないようにしないといけない、というのは、私たちが行っている未来創造プロジェクトにも共通する大事なことだと思った。東大の入学式の祝辞であったように、性別での格差がやはりまだあるので、それがないような未来が来てほしいと思った。(中学A.K.さん)
井上先生の「たくさん実験して、たくさん失敗している。裏切り方が面白い。そしてもう一度調査する」という言葉で、私も失敗しても、もう一度調べなおしたいと思えるような分野に出会いたいと思いました。(1年次M.S.さん)
今回の講座で正義についての見方が広がった。生議論の前提条件を「我々が納得できるもの」にするということをローガンは重視していた。そして実験から得られた結果によって「前提」すら変わってしまうことが分かった。(1年次M.F.さん)