6月11日(金)に,今年度6回目の東京大学「高校生と大学生のための金曜特別講座」を校内で視聴しました。今回は「大江健三郎のデビュー作『奇妙な仕事』を読む」と題し、村上克尚先生(東京大学大学教養学部統合自然科学科‣教授)がご講演くださいました。中学1年生2名、2年生4名、3年生6名、高校1年次8名、2年次3名の23名が参加しての開催となりました。検定と日程が重なったこともあり、今回は会議室で今年度の中では少ない参加者だったものの、久しぶりに本校の生徒(高校1年次S君)が質問し、村上先生から回答を頂戴しました。次回は6月18日(金)「デジタルゲームの感性学」と題した、吉田寛先生(東京大学文学部 思想文化学科・准教授)の講義を拝聴します。
<生徒の感想から>
何を基準として他社と自分を分けるのかについて考えるきっかけになった。大江健三郎が著した「奇妙な仕事」の中では、人と動物(犬)を対比しているように感じた。対比を明確にしていく中で、「自分と違うものには何をしてもよい」という一つの考えに行きつくように思う。自分と他者の間に明確な境目を作ることが優越感につながり、たとえ暴力的な行為でも、それを正当化する大きな理由に結びつくはずだ。逆に考えると、結びつけるために他者と自分に差を見つけたり作るのではないだろうか。「殺すはずだったものから、殺されるものになる」という最後の文章がある。冒頭から「僕」目線であらわされる世界観の中だからこそ、より引き立つ文だと思った。今回、この講義を聞いて、いじめなどの身近なことにも関係すると思った。自分を相手と切り離してしまった時から、その人には何をしてもよい、言ってもよい、という考えが生まれてしまうのではないか、と。(中学3年Hさん)